週刊アクセス
 
 
平成16年1月14日 第192号
 
     
  今週のヘッドライン  
 
「不動産証券化で専門資格創設へ」──不動産証券化協会、2006年メド
日本橋、一段の地盤沈下も──ヤマダ電機の難波進出で
住宅賃貸契約 期限付きに変更可能
ミサワのゴルフ場損失 “一気に700億円”
 
     
「不動産証券化で専門資格創設へ」──不動産証券化協会、2006年メド
  (日経 H16.1.12)  
   不動産証券化協会は不動産を証券化する実務や分析などの専門家を対象とした独自の資格認定制度「不動産証券化アナリスト」(仮称)を2006年度をメドに創設する。専門家の育成を通じて市場の透明性を高め、不動産証券投資を活発にするのがねらい。新資格の認定に当たっては、不動産に絡む金融の知識や証券投資のノウハウを身につけているかどうかを試験で判定する。

いわせてんか! 現在、我が国における不動産関連の資格は、不動産鑑定士を始め、宅地建物取引主任者、マンション管理士、再開発プランナー等数多くあるが、近年制度が整えられ、発達しつつある不動産の証券化を専門とする資格はこれまでなかった。
 そこで不動産証券化にかかわる企業・団体の集まりである社団法人不動産証券化協会が資格認定のための制度を創設することになった。それが「不動産証券化アナリスト」資格である。
 ただ、今のところ不動産証券化協会のホームページ内に「不動産証券化アナリスト」に関する記載はないし、「不動産証券化アナリスト」でネット検索をかけても早稲田大学大学院ファイナンス研究科のページが引っかかるのみである。どのような試験になるかの具体についてはもう少し時間が必要なようである。
 ところで最近不動産金融絡みの雑誌等を読んでいると、不動産を取り巻く状況がこれだけドラスティックに変化しているのに、我々が属する鑑定業界は置いてきぼりをくっているというか、相手にされてないような気がするのは私だけだろうか。これは我々が既存の制度に依存するあまり時代のニーズをつかむことを怠ってきたからに他ならないのではないだろうか。
 不動産の適正価値を求めることが我々不動産鑑定士の使命であるならば、その価値の本質にアプローチするための手段をより多く持っておいた方がよい。特に不動産が特殊な資産でなくなった今、不動産鑑定評価基準のみに寄りかかっているのではどうも苦しい。
 それでは、我々にとって鑑定評価基準以外にアプローチの手段としてなにがあるかといえば、おそらく「不動産証券化アナリスト」試験でもメインになってくるだろうファイナンス理論である。
 金融出身の人ばかりにファイナンス理論を語られて、鑑定士が用語や仕組みを理解できないのではあまりにも悲しい。そのためには実際に試験制度が導入されてからでは遅い。今のうちに私も含め鑑定士は勉強しておかないと。自戒を込めて・・・。





日本橋、一段の地盤沈下も──ヤマダ電機の難波進出で
  (日経ネット関西版 H15.12.18)  
   最大手のヤマダ電機が、南海難波駅(大阪市)周辺の再開発用地へ2005年にも出店することになり、大阪市内は全国でも有数の家電販売激戦地となる。同社でも最大規模の店舗となる見通しで、隣接する電気街・日本橋は地盤沈下に一段と拍車が掛かる懸念がある。
 10月に難波に複合商業施設「なんばパークス」を開業した南海電気鉄道は、ヤマダ出店について「当社の開発区域と違うブロックのことであり、コメントは控えたい」としている。日本橋の電気街などに配慮したものとみられる。その日本橋のある量販店も「何もコメントしたくない」。早くも苦悩の声が上がる。
 市内の目抜き通りである御堂筋沿いには、既に売り場面積約2万平方メートルのヨドバシカメラのマルチメディア梅田や、約1万6000平方メートルのビックカメラなんば店が相次いで出店済み。そのあおりを受けて、今年4月には和光電気、9月にはマツヤデンキが相次いで民事再生法適用の申請に追い込まれた経緯がある。
 ただ、ヤマダ進出は南海には鉄道旅客増や、「なんばパークス」との相乗効果も見込めるだけに、難波地域全体の底上げにつながりそうだ。

いわせてんか! ヤマダが進出するのは、「なんばパークス」の南側。駐車場として使われているニッピ所有地約1万7,500平方メートルのうち、約1万平方メートルを購入する見通しで、投資額は50億円前後とみられる。マイカーでの来店を想定した郊外型店舗を核としてきた同社としては初の駅前進出となる。具体的な店舗内容は未定だが、数階建てのビルに、家電量販の「テックランド」のほか、傘下のディスカウントストア「ダイクマ」などが入る複合業態になる可能性が高い。
 ヤマダ、ヨドバシカメラなど関東勢の出店に共通しているのが、いずれも日本橋への出店ではないということ。その理由として、パソコンがコモディティ化したことで、パソコンは電器街の専門店が扱う商品ではなくなってきたという点が指摘されている。ふつうにショッピングに訪れた家族連れ、カップルなどがプラっと寄って、手軽に購入していく商材に、パソコンおよびパソコン関連製品が位置づけられるようになってきたということだ。
 難波地域は、既存の商業施設に加え、昨年開業した「なんばパークス」など、キタほどではないが、様々な商業施設が見られ、また、「丸井」が2006年に進出を予定している。
 地盤沈下が指摘されている日本橋について、今までは、ヨドバシカメラとの対比で地盤沈下を意識してきたように思われるが、パソコンのコモディティ化がすすむなかでは、今回のヤマダの再開発地区への出店は、ミナミの中では優位であると思われ、キタとの対比という構図ではなく、ミナミの中での日本橋の弱さも一層目立ってきそうだ。





住宅賃貸契約 期限付きに変更可能
  (日経 H16.1.14)  
   政府・自民党は期間をあらかじめ定めて住宅などを賃貸借する定期借家制度の普及をめざし、規制を大幅に緩和する方針だ。一般住宅でも期限のない賃貸契約から定期借家契約への切り替えを認めるほか、借り手の中途解約権を制限するなど貸し手に有利な内容を盛り込む。老朽化した集合住宅の改築など都市再生に役立てる狙いがあるが、不利となる借り手側の反発も見込まれ、調整が手間取る公算がある。

いわせてんか! 定期借家制度のメリットとしては、

 1. 期間満了により貸主に確実に建物が戻ることから、従来は眠らせておかざるを得なかったような不動産を有効に活用、運用することができる。

 2. 原則として途中解約が認められていないため、将来の賃料収入が予想しやすい点で賃貸経営上有利。

 3. 従来の貸家より家賃が安くなる。貸家の供給増加により家賃の下落が期待できる。

等が挙げられる。
 ただし、生活に密接関連する「居住」に関する制度でありながら、住宅政策でなく、「景気対策」や「不動産の証券化・流動化」等々の経済政策的観点から導入されたものであり、現行法でも賃借人に不利との指摘が多数なされている。今回の規制緩和方針においては、一層借主が不利益を被る危険性が高い。
 貸す側と借りる側のバランスは当然考慮されるべきで、借主保護に傾きすぎることは公平ではない。また、当事者双方が制度について自ら理解を深める努力も必要である。しかし、現実には貸主と比べて借主には知識がないことも多い。情報や知識を有する者が、相手側の無知につけこんだ契約をかわすこともありうる。制度の見直しには広く意見を求め議論を尽くしてほしいと思う。





ミサワのゴルフ場損失 “一気に700億円”
  (日経H15.12.27記事に対する
小石川経理研究所『企業財務記事ウオッチャー』から)
 
   ミサワホームホールディングスは26日、2004年3月期の連結最終損益が1270億円の赤字(前期は26億円の黒字)になる見通しと発表した。下期に1430億円の特別損失が生じる。
 下期に生じる特別損失は国内8カ所、海外2カ所のゴルフ場の評価損700億円、住宅分譲事業用地を含む 販売用不動産の評価損が250億円、不動産担保融資の担保評価見直しなどに伴う貸倒引当金が430億円 。ゴルフ場については、外部の不動産鑑定士の評価をもとに従来の簿価約1000億円を300億円に引き下げた。
 ミサワは10月に経営再建策を発表。不良資産は2006年3月期末まで段階的に処理 することも検討していた。しかし企業イメージ低下による顧客離れが深刻化。「一気に処理 してイメージ回復を急ぐ」(水谷社長)こととした。

コメント:
 会社の方針により、不良資産を3年間で段階的に処理することもできるし、一気に処理することもできるというのでは、誰も企業の決算を信用しなくなります。
 まず、ゴルフ場の評価損について考えてみると、固定資産の減損会計が導入されれば、あまりひどい損失先送りはなくなると思われますが、減損の適用指針では、正味売却価額の算定の際には、自社による鑑定ができない場合のみ外部の鑑定評価を使うことができるといった変に甘い規定もあり、 どうなるかわかりません。少なくとも重要な資産については、外部の独立した鑑定評価を優先するといった規定に変えないと、減損会計に対する信頼が失われる恐れがあります。

いわせてんか! 記事の一節だが、確かに“信用”からは程遠く感じられる。また、再建策を発表する企業側の(無意識の)モラルが伺われるともいえるだろう。
 減損導入もしかりで、適用指針での“宥恕的”規定は非常に多くの箇所で散見され、企業ベースで『利害関係者不在』の指針といわれても仕方がないかもしれない。ルールの早期導入が目的だとしても、今の時点で信頼されうるベース(例えば、重要な資産についての選別ガイドラインやQ&Aなど)は公表すべきであろうし、企業も自主的にこれを訴えるだけのモラルや姿勢は欲しいものである。









 

 ※「いわせてんか」は、(株)アクセス鑑定の統一見解ではなく、執筆担当者の私見にすぎません。

           
 
  ―平成16年1月14日号・完―  
 戻る