週刊アクセス
 
 
平成13年3月7日 第46号
 
     
  今週のヘッドライン  
 
魅力ある賃貸住宅で収益性を高める 土地建物一体としての不動産価値
地震の危険度による地域格差
国土交通省、不動産収益指標を標準化
ポートアイランド第2期と複合産業施設に賃貸・定借区域を設定
 
     
     
  魅力ある賃貸住宅で収益性を高める 土地建物一体としての不動産価値  
  (住宅新報 2001.3.16号 記事参照)  
 
「永住できる賃貸住宅〜プロが共同し、事業化」

サブリースを手掛けるエイブル保証が企画提案し、オーナーと建築家、税理士の四者が共同で事業を進めた賃貸住宅「ソルグリーン湘南」が完成。全戸に庭、ウッドデッキ、床暖房、2.7mの天井高等をもち、企画型住宅にはない遊び心を持った間取りが特徴。「分譲住宅と同じように、永住志向を持って地域生活を営める人に入居してもらいたかった」「経済的に余裕はあるものの、好みに合った住宅が見つからない賃貸指向のファミリー世帯(がターゲット)」(かっこ、筆者)。相場を上回る月額22万円前後の家賃ながら満室が見込まれるという。

「子育て賃貸住宅開発 主婦とネット活用で」
スターツはネットを活用し、主婦と共同で育児に最適な健康指向の子育て賃貸マンションを企画・開発する。これにより煮詰めた企画・コンセプトに基づき建築主を募集、2003年春第1号の完成を目指す。「理想の子育て賃貸マンション」のブランド化を図りながら、年間10棟程度を供給する予定。同社は単身女性が快適に安心して暮らせる賃貸住宅の開発にも着手している。


いわせてんか! 週刊アクセス過去記事においても「個性派賃貸マンション」「ペット共生賃貸」等、賃貸ビジネスの多様化を伝えてきたが、この現状は本格化している。
 賃貸指向は着実に増えており、このニーズに企業が応える形であるが、これは土地のオーナーにとっても望んでいる活用形態である。消費者の満足(CS)を中心に据えた戦略はいまや「王道」である。
 鑑定評価においても、いままで「土地」「建物」と分けて考える傾向が強く、また、そのハード面を思考のベースにしていた感がある。これからは、消費者ニーズといった「市場参加者の属性」というソフトの面を重視する必要があろう。「ある消費者層にとって魅力的な賃貸住宅だから満室になる」=「土地建物一体としての収益性が高く、これを買っても損はない」というような市場分析が、鑑定書のなかで評価額の妥当性を検証する手段として必要になるのではないか。

 




地震の危険度による地域格差
(日経H13.03.06)
 
 国土交通省は、大地震でどれだけの建物が壊れたり、傾いたりするかを地区ごとに把握するための防災地図づくりに乗り出す。「○丁目○番地」の単位で市街地の危険度を格付けし、詳細な防災地図を作製する。H13.3月内にも静岡市など10地区の試験的な地図を作ったうえで、全国の市町村に作成を働きかける。低層の木造住宅が並ぶ密集地など地震に弱い地域の再開発を促すのがねらいだ。


いわせてんか! 国土交通省の防災地図のポイントは「地番」ごとに「格付け」を行うことに尽きる。従来は、東京都等地域単位での防災地図はみうけられていた。もし、国土交通省が「地番」別により個別具体的に危険度を判定し公開するとなれば、災害時の危険予測に役立つ反面、地価に影響を与えかねない。特に大阪圏には、低層の木造住宅の密集する地域が数多くみられ、公開されると、ますます大阪圏の地価は下落することが予測される。
 なお、関西で試験的な地図をつくる地域は、京都府宇治市、大阪府豊中市、同堺市である。




国土交通省、不動産収益指標を標準化
(日経H13.03.04)

 緊急経済対策を検討している与党の指示を受けて、国土交通省は土地流動化対策の素案をまとめた。オフィスなどの投資収益率を示す不動産投資インデックスを利用しやすくする指針(ガイドライン)を2001年度中に作成する。物件の収益性を正確に測れるようにすることで、解禁された不動産投資信託などの普及を促す狙い。大都市部の再開発事業に証券化手法を活用する方策も検討する。
 素案は、
(1) 都市基盤整備
(2) 土地需要の創出・喚起
(3) 土地利用規制の適切な運用
(4) 資金調達、事業手法の多様化
(5) 不動産市場の整備と活性化
――の五本柱。このうち資金調達では投資資金を不動産市場に呼び込む環境整備に力点を置いた。不動産投資インデックスは、投資家が不動産に投資した場合の収益率などを地域ごとに指数化したもの。英米では実際の賃料に基づく標準的なデータがある。日本でも住友生命総合研究所など複数のインデックスがあるが、算出方法がバラバラで、情報不足から賃料も推計値にとどまる例が多く、投資家から「使いにくい」との声が出ていた。

いわせてんか!今回、土地流動化対策の一環として国土交通省が不動産投資インデックスのガイドライン作成を打ち出した。インデックスを実際に作成するのは各民間団体であるにしても、それをまとめる舵取り役が必要であった。不動産投信が解禁された今、不動産投信を我が国に根付かせ、不動産市場を活発化させるには、遅れている投資環境の整備が不可欠であり、誰もが納得する客観的かつ透明性の高いデータの開示が必要である。今回国土交通省によるガイドラインの作成にあたっては、
特にデータ提供者の積極的な協力を促すような施策を期待したい。



ポートアイランド第2期と複合産業施設に賃貸・定借区域を設定
(日経 H13.03.03)

 神戸市の笹山幸俊市長は3月2日の神戸市議会本会議で、土地売却が難航しているポートアイランド第二期と複合産業団地に、賃貸・定期借地権専用のゾーンを設けることを表明した(2005年度までの期間限定措置の予定)。ゾーンの広さや優遇制度の詳細を詰め、早ければ四月にも実施する。神戸市の土地開発は、分譲が原則だが、事業収益よりも景気と雇用の回復を優先して方針を転換する。
 土地の貸し出しでは権利金の低減や賃料の傾斜減額制度の導入を検討する。また分譲を希望する企業に対しても、長期分割払いを選べるようにする考えだ。


いわせてんか! 先週このホームページで取り上げた「りんくうタウンの工場用分譲地値下げ」につづいて、神戸市でも企業誘致策が取られることになった。企業誘致について問われた笹山市長は、「企業は土地資産よりもキャッシュフロー経営を重視している」との見解を示した。その上で「進出企業の負担を軽減するため(誘致)メニューを増やす必要がある」と語り、定期借地権ゾーンの創設を提唱した。
 神戸港のポートアイランド二期の都市開発用地は高額なことから一割程度しか売却が済んでいない。国内の土地需要を減らす企業の海外進出、債務返済のための土地売却、人口の減少など深刻な地価下落が続くと予測される今日、賃料の傾斜減額制度の導入は魅力があるかもしれない。りんくうタウンに続き多少遅かったといえる行政の対応に注目したい。
                                

                  先週の続報 
 先週りんくうタウンの工場分譲地の値下げについて取り上げたが、早速二社が進出することが明らかになった。進出を決めた企業は、精密機械メーカーとOAや情報技術(IT)機器の部品メーカーで、近畿の他の工業団地と比較・検討しりんくうタウン進出を決めたらしい。値下げ前の価格と値下げ後の価格、どちらが正常価格なのであろうか?それとも売り急ぎなのであろうか?ともかく事業展開等ができる元気な企業が存在しているというだけでも明るい話題である。
 



 ※「いわせてんか」は、(株)アクセス鑑定の統一見解ではなく、執筆担当者の私見にすぎません。

           
 
  ―平成13年3月7日号・完―  
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