週刊アクセス
 
 
平成13年1月24日 第40号
 
     
  今週のヘッドライン  
 
「不透明な日本の不動産市場」ウオールストリート・ジャーナル特派員語る
2001年不動産鑑定士試験の概要が発表
鑑定市場の今日、明日
 
     
     
  「不透明な日本の不動産市場」ウオールストリート・ジャーナル特派員語る  
  (不動産鑑定 2001年2月号)  
    同社東京特派員フレッド・デボラック氏談。
 
「知り合いの在日外国人投資家・・・日本の鑑定制度について非常に厳しい意見を述べた・・
不動産鑑定士が出す物件の価値評価は全く当てにならない、と。
 ・・他の外国人投資家からも・・買う意欲はある。が、日本の不動産市場が非常に不透明、物件の価値がなかなか分からないので躊躇することが多いのである。
 ・・日本の不動産鑑定士が出す評価で一番問題になっているのが、プライシングの根拠になっている予想された賃金と投資リターンが市場で実際に見ているものと全然違う、と。これは鑑定士の努力が足りないというより、基本的な情報開示がなされていないからだという。
 賃料情報がその一つの例。アメリカだったら鑑定会社や専門会社が地域ごとの賃料情報を集めて、分析する。・・しかし、日本ではこうしたデーターはあまり開示していないので信頼できるデータベースがない・・断片的なデータを持っているところもあるが、実際に取引されているレートとだいぶ違うことが多い、と。
 もう一つ、日本の不動産市場で非常に不透明なところは投資のリターンだ。・・アメリカだったら不動産鑑定士と投資家が話し合って、そういう情報を良く交わしている・・が、日本では投資リターン情報がなかなか手に入らないため、不動産の価値評価が正確に計算できない・・。
 ・・これから日本が導入しようとしているJ−REIT市場を成功させるため、徹底したデータベースに基づいた、信頼できる価値評価が必要、と私の知り合いの投資家が言う。そして、そういうデータベース作成が日本の不動産鑑定会社の急務だ、と。」

いわせてんか!  ”鑑定評価書が文鎮にしかならないと分かっている”とは手厳しい。やはりといえば当然のことなのだろうが、賃料情報開示が槍玉に挙げられている。これまでこのHPでも自戒をこめた、国等の努力を指摘してきたが、ここへきてデータ開示が不動産流動化の隘路となっていることは明白のようである。一部民間の企業の中では、アセットマネジメント等を標榜して独自に”生”の賃料データを収集し、投資家等へ物件判断のアドバイスをしているところもあり、売上を伸ばしている。
 鑑定士は、鑑定書を必要とするクライアントのニーズに応えてこそプロと言えるだろう。同じ重さなら、当然信頼すべき情報の重さであるべきである。鑑定評価額のバックデータの多さに基づく説得性を、投資家は期待している。

 




2001年不動産鑑定士試験の概要が発表
(Housing TIMES H13.1.19)
 
 国土交通省は、2001年の不動産鑑定士試験の実施計画をこのほどまとめた。
 第1次試験は2月9日に試験案内などを配布開始し、受験願書受付は2月23日〜3月9日、試験は4月15日(合格発表予定5月23日)に行う。第2次試験は5月25日に試験案内などを配布開始、願書受付は6月8日〜22日、試験は8月4日〜6日(合格発表予定10月17日)。第3次試験は9月28日に試験案内など配布開始、願書受付は10月12日〜26日、試験は12月2日(合格発表予定1月23日)。
 2000年は、第1次試験137人、第2次試験3,559人、第3次試験681人が受験を申し込んだ。



いわせてんか! 
 今年の鑑定士試験の概要が発表された。不動産鑑定士試験のメインとなる2次試験は、例年7月の最終金曜日から日曜日にかけての3日間であったが、今年から1週間ほどずれて8月初旬の土曜日から月曜日に実施されることになったようだ。また、不動産鑑定士になるための最終関門である3次試験の実施日も1週間ほどずれて12月初旬の日曜日(例年は11月の最終日曜日)の実施予定である。なお、2001年度から実施方式も若干変更される。(http://www.nla.go.jp/tocchi/000620.html
ともあれ2次試験、3次試験とも試験日が例年に比べ1週間遅くなったのは追い込み型の受験生にとっては吉報か?








鑑定市場の今日、明日
平成13年2月2日号 住宅新報
 
  三友システム不動産金融研究所(東京都新宿区)井上明義代表による鑑定市場分析

 不動産鑑定市場は"冬の時代"といわれているが、時価会計の導入や不動産証券化の進展などに伴い、鑑定評価の発注先が海外の不動産会社・金融機関にまで広がり、マーケットには神風も吹いている。
 一方で構造変化も急ピッチ。鑑定業周辺の金融・会計分野など広範囲にわたり勉強した若手鑑定士の台頭や他産業からの参入に加え、鑑定業務自体の大手集中も顕著だ。なかでも仕事の大手集中化が目立つ。『短期間に、広いエリアで、大量物件の鑑定をしてもらいたい』とするニーズの高まりが背景にある。
 需要が増える反面、鑑定料の値下げ圧力が、強まるともみる。


いわせてんか!   鑑定業界でも最先端では、神風が吹いているが、それを感じとれるか否かが問題である。地価動向と同様に鑑定業界自体にも2極化が進んでいる。すなわち都心と地方、大手と個人業者等である。しかし気になるのは、広いエリアでの大量物件値下がる単価である。これだけを考えると、地方の個人業者には果たして生き残りの道はないのではないかとも思える。神風を感じ、新たな需要を掘り起こすほかないが、鑑定の質の低下だけは避けてゆかねばなるまい。





 ※「いわせてんか」は、(株)アクセス鑑定の統一見解ではなく、執筆担当者の私見にすぎません。

           
 
  ―平成13年1月24日号・完―  
  戻る