週刊アクセス
 
 
平成13年1月17日 第39号
 
     
  今週のヘッドライン  
 
住宅ローン残高182兆円 個人消費を圧迫
「市街化農地等の宅地造成費」算定方法が不徹底 行政監察局が指摘
大阪 ビル賃料依然弱含み
不動産各社、マンションの性能強化
 
     
     
  住宅ローン残高182兆円 個人消費を圧迫  
  (日経 H13.1.16)  
   日銀によると、2000年9月末の家計部門の住宅資金借入残高は約182兆5千億円で、統計を開始した1989年度以降で最高となった。要因は、地価下落や低金利、さらには公庫融資枠拡大・住宅ローン減税を背景に住宅購入に踏み切る世帯が増えているため。残高拡大に伴い、月々のローン返済額は可処分所得の2割にまで達しており、所得の伸び悩み・下落のなか、個人消費を圧迫する原因になっている公算が大きい。

いわせてんか! 政府の住宅促進策が、まわりまわって消費を圧迫しているとは皮肉なことである。どちらが"ニワトリとタマゴ"なのか定かではないが、これからは企業を含め「所得」増加を刺激する策を中心に打ち出していく必要が大きいのではないか?
 また、この現象は、新築マンションの契約率等売れ行きは好調であるが、単価・総額とも連続して下落していることとも相関している。

 




「市街化農地等の宅地造成費」算定方法が不徹底 行政監察局が指摘
(速報税理 H13.1.11号)
 
  総務庁行政監察局(現総務省・行政評価局)が昨年H12.11月に出した「税務行政監察結果報告書」のなかで、相続税の土地評価において、市街化農地等の宅地造成費が以下のようであると指摘している。

 「財産評価基本通達40(市街化農地の評価)において・・・『・・国税局長の定める金額・・』とされている。(宅地造成費)については、国税局ごとに、標準的な農地等を前提として宅地造成業者等の精通者から収集した意見価格等に基づき、国税局長が評定することとされている。この・・・評定結果については、評価しようとする付近の宅地の価額のいかんにかかわらず、国税局管内における標準的な宅地造成費として一律に定めていることから、これを適用して農地等の評価額を計算すると・・・その農地等の価額として計算された額が適正な時価を表さない場合がある。」


いわせてんか! 
 国税局ごとの「財産評価基準書」は記載内容がばらばらで、例えば、管区が隣接する地域で状況が全く変わらない市街化山林であるにもかかわらず、造成費が異なるため評価額に大きな差異が生じる可能性がある。納税者としては、造成費が高ければ納税額が下がるわけで、実際の造成費が標準的なそれに比較して大幅に高い場合には、納得がいかないのも当然だ。また、山林の場合、所有面積が大きい場合が多く、評価額は市場価値に比して相当に割高になる可能性がある。この状況は「課税の公平」から、容認されるものではない。
 報告書により、H13度は国税庁も全国的な統一規準をもう少し突っ込んで規制していくだろう。しかし、あくまでも"標準"の域をでるものではなく、結局は適正な造成費(時価)から著しく乖離するものは、納税者の側で個別に指摘していくしかあるまい。







大阪 ビル賃料依然弱含み
平成13年1月26日 住宅新報
 
  住宅新報社が2000年現在で調べた東京、大阪、名古屋の三大都市圏オフィスビル調査で、東京は新築や優良既存ビルを中心に賃料が底打ちする一方、新しい需要が見当たらない大阪と名古屋では、依然賃料は軟調に推移しているという結果がでた。
 大阪に関する要旨は以下のとおり。


・ 大阪は新築ビルが既存ビル並の賃料でテナントを募集しているために、下落に歯止めがかからない状況になっている。

・ 「立地よりも、OAフロアや個別空調などの設備を前提とした賃料優先の選択」をするため、賃料の下押し要因が強く働く市場になっている。

・ 既存ビルでは、空室を避け、既存のテナント引き止めのためにさらに賃料を下げるという悪循環の状況にある。

・ 「供給が多くない分だけ市況回復は進む」(三鬼商事)

・ 「賃料の底打ちは再来年以降」(ビル関係者)


いわせてんか!  大阪におけるオフィス賃料はまだまだ底打ちがないというのが現状だろう。本来なら不動産証券化、日本版reitを控え、収益物件は特に注目を浴びるはずである。にもかかわらず、大阪でのオフィス賃料下落は安定した賃料収入を期待できないため、投資家は不動産に高利回りが期待できないということである。そういえば大阪圏では不動産の証券化等の話題はあまり聞かないが、このままで"大阪独り負け"、"大きな地方都市"になるのではと懸念される、今日この頃である。



不動産各社、マンションの性能強化
2001/01/14日経
 三菱地所、東急不動産など大手不動産各社が、分譲マンションの品質・基本性能を相次ぎ強化する。コンクリートの耐久寿命を従来の65年間から100年間に延ばすほか、遮音性、室内の空気環境などの設計基準を引き上げる。欠陥住宅の排除を目的とする住宅性能表示制度が昨年10月にスタートし、マンションの品質・性能に対する購入者の関心が高まっていることに対応した。物件の品質が売れ行きにも直結することから、今後、各社の性能競争が加速しそうだ。
 三菱地所と東急不動産は、今春以降に発売する新築マンション全物件で、耐久寿命を100年に延ばした高強度コンクリートを採用する。リクルートコスモスも今月から着工する全物件で標準採用を決めた。建物の柱や梁(はり)などのコンクリート構造部分について、大規模な補修を必要としない期間を現行の65年から100年にするもので、建物の基本性能を等級で示す住宅性能表示制度の耐久性基準で最高等級を取得する。「100年コンクリート」は建築コストや施工の手間から、これまで高層マンションに限定するケースが多かった。

いわせてんか! この原稿を書いている今日1月17日は、折しも阪神淡路大震災からまる6年目の日である。震災後問題となったことの一つに、地震によって損壊したマンションの建て替えの問題がある。いまだにニュースなどで建て替えをめぐって裁判等で争っているケースが見受けられ、全くの他人が同じハコ(建物)の中で暮らすことの難しさを浮き彫りにしている。 
 そしてこの100年マンションの話であるが、住宅性能表示制度の施行、消費者の関心の高まり等により各社マンションの性能をアップするとのことである。またいつ起こるかもしれない大地震、耐久性がアップすることによる資産価値の持続等ハードとしてのマンションのグレードアップは消費者としては歓迎だが、マンションにとっては、管理を含めた、人と人とのつながり、すなわちソフトの面も重要であることを忘れてはいけない。





 ※「いわせてんか」は、(株)アクセス鑑定の統一見解ではなく、執筆担当者の私見にすぎません。

           
 
  ―平成13年1月17日号・完―  
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